脊髄前角の運動細胞

脊髄前角細胞 → 脊髄前角の運動細胞

脊髄前角の運動細胞 http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/brodal/chapter3.html

 末梢性運動ニューロン、しばしば運動ニューロンmotoneuronsと呼ばれるものは細胞体が脊髄前角又は脳幹の若干の脳神経の運動核内にみられる。後者は7章で詳述するが、原則として、前角の運動細胞と同型である。筋紡錘の遠心性支配が発見されて以後、大型と小型の運動ニューロン(通常α(アルファ)γ(ガンマ)運動細胞といわれる)に区別するのが習慣となっている。後者については後で又戻ってのべることにする。

FIG. 1-12 Photomicrographs of motor ventral horn cells in the adult monkey. A: normal; B: 6 days following transection of axons. All cells present typical acute retrograde changes. ×68. From Bodian (1947).

α-motoneuron: 多角形で多極性で、細胞質に多量の虚班顆粒をもつ(1-12A図)。その多数の樹状突起が灰白質内主として前角の灰白質内で分枝している。軸索は腹側に走り、脊髄を出て前根に入る。この末梢神経はついで筋肉に至る。(すべての末梢神経がこのような体性遠心性の運動繊維を含んでいる訳ではない。すなわち、その大部分は、体性求心繊維と内臓性繊維をも有している。)

 IX(Rexed)層内にある。しかし、多数の小型細胞を混じている。実際小型細胞の数の方がはるかに多い。ある群ではその比は1:16.5。前根繊維の約30%が筋紡錘支配である。従って、IX層にある小型細胞の大多数が筋紡錘への繊維への繊維の細胞体ではあり得ないことになる。若干のものは、確実に単に小型の運動ニューロンである。若干のものはRenshow細胞であるらしいけれども、他が介在ニューロンであるかどうか定まっていない。この主題は後述される。

 脊髄前角及び運動性脳神経核内の運動ニューロンは、身体の骨格筋につたえれるすべてのインパレスにとって“最終共通路”(Sherrington)をなすものである。それらの運動ニューロンはたくさんの源泉からのインパルスにより影響をうける。前述したように、一次知覚繊維がそれらに終わることが見い出されている。それに、大脳皮質及び脳幹諸核から脊髄を下行する繊維によって、主として介在ニューロンを介して、活発化される(acted upon)。(4章で論ぜられる)。故に運動ニューロンの行動の究極的効果として起こる運動は、運動前角細胞に収斂するインパルスによって規定されている。そしてこれらのインパルス(効果)は、いわば、異なる系列より演じられているのである。

 種々の運動の多様性は例外を除いて運動ニューロン自身によって第一義的に決定されているのではない。